→速報 TSCの顔面の血管線維腫に対する塗り薬、ラパマイシン(シロリムス)ゲルが3月23日に承認され、2018年6月6日より市販可能になります

TSC(結節性硬化症)の塗り薬が承認されました。詳しくは下記の「最新情報」をご覧下さい。
平成30年3月26日(月)





結節性硬化症は全身の臓器に過誤腫を生ずると同時にてんかんや行動異常、白斑などを生ずる疾患で、胎児期には心の横紋筋腫が出現し、年齢が長ずるに従って、SEGA(上衣下巨細胞性星細胞腫)、顔面の血管線維腫、腎をはじめとする種々の臓器の血管筋脂肪腫、肺のLAM(リンパ脈管筋腫症)、消化管の腫瘍など様々な症状を呈する疾患である。従って多数の科が協力して治療方針を決めて行く必要がある。このような横断的診療システムは、新規の治療薬として全身の症状に効果のあるエベロリムスやシロリムスが登場してますます重要になってきた。
我々は2012年から前述のシステム(TSC-Board)を発足し、多くの科が共同で患者さんをみていくという診療連携を行い、それぞれの患者さんに最も適した治療を提供する様につとめてきた。同時に、障害が重度で受診が大変な患者さんや遠方からの患者さんでも受診が可能なように、同一日に複数科の受診を可能にすなどの工夫をこらしている。


検討会 阪大病院TSCボードメンバー
多くの診療科が多方面から検討をすることによって
経験を共有し知識が蓄積される
呼吸器内科、放射線科、泌尿器科
皮膚科、小児科の各専門家





世界初、結節性硬化症皮膚病変に対する新規外用治療薬の承認~アカデミア発の希少難治性疾患の治療薬が早期に実用化へ~
【記者発表:3月26日(月)13時30分~@医学系研究科(吹田キャンパス)】


【研究成果のポイント】
治療法のない希少難治性疾患である結節性硬化症の皮膚病変に対する新規治療薬を開発した。
アカデミア発の治療薬が世界に先駆けて承認された。
治療法のないと思われていた病変に、簡便で安全な治療薬が提供できたことで、社会生活を続けながらの治療が可能になり、患者さんのQOLの改善と同時に医療経済的にも良い結果をもたらすことが期待できる。

【概要】
大阪大学大学院医学系研究科の金田眞理講師(皮膚科学、教授:片山一朗)らの研究成果を基にして開発された「結節性硬化症※1皮膚病変」に対する治療薬;シロリムスゲル剤(商品名:ラパリムスゲル0.2%)が3月23日に承認されます。これまでに結節性硬化症に対する治療方法は極めて限定的でしたが、シロリムスゲル剤の承認により、同疾患の皮膚病変に対して安全で有用な治療法を提供できることとなります。
 大阪大学が実施した医師主導治験第I、Ⅱ相試験に引き続き、企業治験が行われ、先駆け審査指定により早期に承認を取得し、実用化が実現しました。医師主導治験の詳細は、米国科学誌「JAMA Dermatology」に2017年1月に掲載されています。

【研究の背景】
結節性硬化症は、患者さんの数が少ない希な病気(希少疾患)の1つで、てんかん、発達障害や、脳、皮膚、腎、肺をはじめとする全身の種々の臓器に過誤腫とよばれる腫瘍性病変を生ずる疾患です。その中でも顔面の血管線維腫などの皮膚病変は高頻度に出現する病変であり、思春期頃より著明になる症状です。結節性硬化症に伴う顔面の血管線維腫は、病変に伴う出血や二次細菌感染、痛み、機能障害などのため患者さんに苦痛を与え、整容的な面からは社会生活の質(QOL)を著しく低下させます。しかしながら現時点での確立された治療法は手術やレーザー等の外科的治療法だけであり、局所麻酔での治療が困難な子供や精神発達遅滞がある患者さんには施行が難しく、重篤になるまで無治療でおいておかれることが多く認められました(図2)。このような状況から、結節性硬化症の皮膚病変に対して、安全かつ簡便な治療法を確立することが望まれていました。
結節性硬化症では、TSC1遺伝子、TSC2遺伝子の異常により、下流のmTORC1※2が恒常的に活性化し、細胞が増殖し全身に前述した様に過誤腫をはじめとして種々の症状が生じます(図3)。mTORC1阻害剤として、シロリムス(ラパマイシン)※3等の全身投与で本症の腫瘍は抑制されますが、全身投与では副作用が憂慮されます。そこで、金田講師らの研究グループは、より安全性の高い治療薬としてmTORC1阻害剤の外用治療薬の研究開発を進めました。

【本研究の成果】
金田講師らは、分子量の大きな有効成分を効率よく吸収させるよう、製剤化を検討することからはじめました。厚生労働省難治性疾患実用化研究事業、日本医療研究開発機構(AMED)革新的医療技術創出拠点の支援を受けて、大阪大学医学部附属病院薬剤部及び大阪大学医学部附属病院未来医療開発部と協力し、基礎研究や臨床研究を行ってシロリムス外用剤をGMP下で製造し、この製剤を用いて、結節性硬化症患者の顔面皮膚病変を対象とした医師主導治験(第ⅠⅡ相試験)を実施し、シロリムスゲル剤が本症の血管線維腫等の皮膚病変に安全かつ極めて有効であることを明らかにしました。本研究はノーベルファーマ株式会社に引き継がれ、同社は第Ⅲ相治験と長期試験を実施し、この度世界に先駆けて承認を取得しました。なお、本開発品は厚生労働省の医薬品の先駆け審査指定品目に第1号として指定されています。

【本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)】
結節性硬化症に伴う顔面の血管線維腫などの皮膚病変は特徴的な症状であり、患者のQOLを著しく低下させるにもかかわらず、これまで安全かつ有効な治療方法がありませんでした。今回のシロリムスゲル剤は本症の皮膚病変に対して局所投与が可能な唯一の薬剤であり、痛みもなく簡便に使用できかつ安全性の高い本薬剤の承認により、難病に苦しんでいる、とりわけ小児や発達障害のため治療法がなかった患者の方々へ新しい治療法を提供することが可能になります。さらに、小児等の軽症の病変に使用することにより、病変の進展・増悪を抑制することができます。簡便で安全なため、仕事を休んでの通院や入院の必要がなく術後の処置も要らない本薬剤による治療により、患者のQOLの改善のみならず、労働生産性の向上にも役立つことが期待できます。
また、本研究は、厚生労働省難治性疾患実用化研究支援を受けて、大阪大学医学部附属病院薬剤部及び大阪大学医学部附属病院未来医療開発部と協力して行われたアカデミア主体の研究成果です。アカデミア主体の医師主導治験により安全性と有効性を確認し、それを企業が引き継ぎ検証試験を施行し、厚労省先駆けの審査指定(特にコンシェルジェ制度)及び希少疾病用医薬品指定制度を利用することにより製造販売承認申請から6ヶ月に満たないスピード承認となったなど、新規制度の利用や産官学の連携が極めてうまく進んだケースであり、今後同様の薬剤の開発のモデルとしても役立つことが期待できます。
記者発表資料より(2018.3.26)




診療連携を行う診療科リンク
(平成28年現在) 
呼吸器内科 http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/imed3/lab_8/index.html
放射線科 http://radiol-osaka-u.com/
泌尿器科 http://www.osaka-urology.jp/10/46/417.html
皮膚科 http://derma.med.osaka-u.ac.jp/OPC/senmonOPC.html
小児神経科 http://www.med.osaka-u.ac.jp/~ped/www/study/st07_brain_1.html




International TSC Research Conference 2018 が 9/13-p/15の3日間東京で開催されます。TSCの専門家がたくさんこられますので、興味のあるかたはこぞってご参加くださいませ。本学会は患者さんの参加も歓迎です。 New2018/5/9
国際TSCリサーチカンファレンス2018の案内pdf

学会ホームページ
http://k-con.co.jp/itscrc2018/
 
第5回日本結節性硬化症学会学術総会 終了
会 長: 師田 信人 (東京都立小児総合医療センター)
期 日: 平成29年11月11日(土)
会 場: 東京都立小児総合医療センター (東京都府中市)
第5回日本結節性硬化症学会ホームページ
http://jstsc2017.umin.jp/
 
第4回日本結節性硬化症学会学術総会が阪大(吹田)で開催 終了
第4回日本結節性硬化症学会ホームページ
http://derma.med.osaka-u.ac.jp/4tsc/




日本結節性硬化症学会ホームページ
International Tuberous Sclerosis Complex Research Conference 2018



TSCボードから、治療や診断の参考になればと論文を発表致しました。興味のある方はご覧くださいませ
 
Tuberous sclerosis complex: Recent advances in manifestations and therapy
Mari Wataya-Kaneda,1 Motohide Uemura,2 Kazutoshi Fujita,2 Haruhiko Hirata,3 Keigo Osuga,4,Kuriko Kagitani-Shimono5 and Norio Nonomura,2 on behalf of the Tuberous Sclerosis Complex Board of Osaka University Hospital
International Journal of Urology (2017) doi: 10.1111/iju.13390

連絡い合わせ先
▽皮膚遺伝病外来 金田眞理 電話:06-6879-3031
▽ 泌尿器科 結節性硬化症外来